平成26年度税制改正 贈与税の改正ポイント
暦年課税贈与の贈与税の税率構造の改正
最高税率が50%から55%に引き上げられ、また、税率区分は6段階から8段階に変更されます。 20歳以上の者が直系尊属(親、祖父母など)から贈与を受けた場合の贈与税の税率構造を緩和され「特例税率」を適用して税額を計算します。
相続時精算課税
贈与者の年齢要件が65歳以上から60歳以上に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が追加されました。 この改正によって、贈与者が60歳以上であれば適用可能となり、また、父母だけではなく、祖父母からの贈与も同制度の対象に加わることになります。
改正前 | 改正後 | |
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贈与者 | 65歳以上 | 60歳以上 |
受贈者 | 20歳以上の子である推定相続人
(代襲相続人である孫を含む。) |
20歳以上の子である推定相続人
20歳以上の孫 |
- 年齢は、贈与の年の1月1日現在のもので、推定相続人であっても贈与者の直系卑属であるものに限ります。
- 上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されます。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
子や孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子・孫ごとに1,500万円までを非課税となります。
- 祖父母(贈与者)が、金融機関に子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出した場合、この資金について、子・孫ごとに1,500万円までを非課税とします。
- 教育費の範囲(注)は、学校などへの入学金や授業料、学校以外の塾や習い事の月謝等とし、学校以外の者に支払われるものについては500万円が限度となります。
- 教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。
- 子・孫が30歳に達する日に口座等は終了します(使い残しや教育資金以外の支払いに充てられた金銭があれば、贈与税が課税されます)。
- 平成25年4月1日から平成27年12月31日までの3年間の措置です。
「教育費」の範囲
- 学校等に直接支払われる入学金、授業料その他の金銭(1,500万円枠)
- 学校等以外の者に教育に関する役務の提供等の対価として直接支払われる金銭(500万円枠)
事業承継税制の見直し
非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度(「事業承継税制」)について、適用要件の緩和、負担の軽減、手続の簡素化など見直しが行われます。 所要の経過措置を講じた上で、原則として平成27年1月1日以後の相続又は贈与について適用されます。
1 要件の緩和
- 雇用確保要件の緩和
常時使用従業員数の平均が「5年間毎年8割以上確保」から、「5年間平均で8割以上確保」に緩和されます。
- 後継者の親族間承継要件の廃止
非上場会社を経営していた被相続人の親族である要件が廃止され、親族外の後継者への相続又は贈与であっても適用対象とされます。
- 先代経営者の役員退任要件の緩和
贈与者の要件のうち、贈与時において認定会社の役員でないこととする要件について、贈与時において代表権を有していないことに緩和されます。
2 負担の軽減
- 納税猶予期間に係る利子税の負担軽減
納税猶予期間に係る利子税の割合が現行年2.1%から0.9%(現行)に引き下がり、また、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)の経過後に納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合については当該期間中の利子税が免除されます。
- 猶予税額の一部免除
民事再生計画等に基づき事業再生を行う際に、納税猶予税額を再計算し、税額が一部免除されます。
- 納税猶予税額の計算方法の見直し
先代経営者の債務等を相続税の課税価格から控除する場合には、非上場株式等以外の財産の価額から控除することとされます。
3 手続の簡素化
- 経済産業大臣による事前確認制度の廃止
相続又は贈与前の経済産業大臣による事前確認制度が廃止されます。
- 提出書類の簡略化
相続税等の申告書、継続届出書等に係る添付書類のうち、一定のものについては、提出を要しないこととされます。
- 株券不発行会社への適用拡大
株券不発行会社について、一定の要件を満たす場合には、株券の発行をしなくても納税猶予の適用が認められます。